
2020年11月20日(金) 放送、日本テレビ系・金曜ロードSHOW!「ルパン三世 カリオストロの城」
21時00分~23時04分
不朽の名作「ルパン三世 カリオストロの城」が今夜放送。
今では名作となった「ルパン三世 カリオストロの城」だが、1989年公開時には全く客が入らない赤字映画だった。
当時、独立してフリーのアニメーターになったばかりの宮崎駿は、初の映画監督作品であったこの映画の大失敗で仕事の依頼がなくなり、約5年後の「風の谷のナウシカ(1984年)」のヒットまで苦しい下積み状態を過ごしている。
ただ、この下積み時代があったおかげで、アニメ雑誌「アニメージュ」の当時の編集長だった後のジブリ・プロデューサーの鈴木敏夫氏と宮崎駿の接点となり、その後の漫画版「風の谷のナウシカ」からその映画化およびその後のジブリ創設へと繋がって行く。
その後、宮崎駿がアカデミー賞を得るにあたっても、この大失敗に終わったとされた公開当時から約40年を経てようやく時代が「カリオストロの城」を理解できるようになった。
今回は、このカリオストロの城で気になるのは、ヒロイン・クラリスのその後。
ルパンと別れた後、クラリスはどうなったのか?今夜の放送に先駆け、クラリスのその後についてまとめてみた。
・カリオストロの城のモデル
・カリオストロの城「カリオストロ伯爵」は実在する?
・「カリオストロの城」クラリスその後

ある日、モナコのカジノから大金を強奪したルパン(山田康雄)と次元(小林清志)。
しかしルパンは、その金がカリオストロ公国で作られている幻の偽札“ゴート札”であることに気付く。
かつて、ルパンは“ゴート札”を狙ってカリオストロ公国に忍び込み、失敗した過去があったのだ。今度こそ、その秘密を暴こうと決意したルパンは、カリオストロ公国に向かうが…。
その途中で、謎の男たちに追われる花嫁姿の美少女を発見!
その少女・クラリス(島本須美)はカリオストロ大公家の娘で、父の死後国を治めているカリオストロ伯爵(石田太郎)から結婚を迫られ、逃げていたのだ。
ルパンに救出されたものの逃げ場がないと悟ったクラリスは、大公家に伝わる指輪をルパンに預けて伯爵の元へ戻っていった…。
伯爵がクラリスとの結婚を急いでいるのは、城に隠された秘宝の在り処を示す指輪を手に入れるためだった。伯爵の野望に気付いたルパンは、カリオストロ公国に現れた銭形警部(納谷悟朗)を利用して城に潜入。城の秘宝を狙って伯爵に近づいていた不二子(増山江威子)の協力を得て、クラリスを助けようとするのだが…。
公式サイト
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宮崎駿監督が、カリオストロの城をイメージのモデルにしたのがイタリア中部のマルケ地方のサンレオ。

イタリア中部のマルケ地方のサンレオは、カリオストロの城を作る際に宮崎、大塚、山本(美術の山本二三)達スタッフがヨーロッパに長期のロケハンに行っている。
これは、当時の日本のアニメ界にとって凄いことであり、初の試みであった。
実写の映画やドラマでは当たり前のようにロケハンを行い、そのイメージで演出を変えたりする。それをアニメですることにより、さらにリアルな世界観をかもし出す事に成功した。
カリオストロ公国はサンマリノ公国、バチカン市国、リヒテンシュテイン公国をモデルとしているという説があり、ヨーロッパ中を旅して見聞き(イラストを取る)したエッセンスをミックスしているもの。

作中もなんとなく「イタリア風」であり、バチカン、パリ本部(本当はジュネーブ)と言うセリフがある。ちなみにモデルの城は「リヒテンシュタイン城」になる。
公開当時、宮崎駿監督は「江戸川乱歩の「幽霊塔」をイメージした」と語っているが、実際はこのロケハンでの影響が大きい。
また、「カリオストロ」というネーミング自体は、「ルパン三世」の元ネタであるモーリス・ルブラン作の小説「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」シリーズに登場する、カリオストロ夫人からの引用だそうだ。
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カリオストロ伯爵が治める「カリオストロの城」
実際にヨーロッパ中世期、伯爵以上が国持ちになれるが、独立すると伯国では無く公国になる。なので、現実の爵位として公国の摂政としては、カリオストロ伯爵の爵位は低い。「公国」とは「王(kING)を頂かず、大公、公爵(DUKE)が治める国」を意味するので、侯爵が主の場合は「侯国」、伯爵が主の場合は「伯国」になる。
映画の設定では「カリオストロ大公の娘」、クラリスと伯爵だけが一族の生き残りであり、結婚によってクラリスの持つ継承権が伯爵に渡れば「大公」を名乗れる。
所詮は「末端の家系」の出身の設定。
ネーミングについては、アルセーヌ・ルパンシリーズの「カリオストロ伯爵夫人」が元ネタなので、シリーズを通して追い求めた「カリオストロ4つの謎」。これを選んだ宮崎駿監督が原作のファンだったのかもしれない。
ちなみにカリオストロ伯爵を自称した人物は実在する。
そもそもは18世紀に実在した「カリオストロ伯爵」という人物は、胡散臭い詐欺師で、当時のフランスの宮廷を騒がせた「首飾り事件」の容疑者として有名。(実は冤罪)
そして、小説「アルセーヌ・ルパン」シリーズ「首飾り事件」を題材にした作品が書かれている。アルセーヌ・ルパンが「少年時代に最初に狙った獲物」とされたのが「首飾り事件」で出てくる首飾りで、物語の中に登場する女盗賊バルサモが「カリオストロ伯爵夫人」を名乗っている。(ちなみにその時のルパンの恋人の名前が「クラリス」)
アニメ版の「ルパン三世」は「アルセーヌ・ルパンの孫」、という設定ということもあり、小説「アルセーヌ・ルパン」の内容をモチーフにしたネタがたびたび登場することもある。
その一つが映画「カリオストロの城」であり、「カリオストロ」「クラリス」という名前。
これは名前を借りただけで、実在したカリオストロ伯爵や小説「アルセーヌ・ルパン」とは無関係。「ルパン三世」という作品は他のアニメとは違い、「ストーリー間の辻褄」とか「細かい設定」みたいなものはあまり気にしないというスタンスなのだろう。
基本的に「他のストーリーとはつながりは無い」オリジナル作品という解釈でいいのかもしれない。
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「カリオストロの城」クラリスその後は、「ルパン三世 カリオストロの城 -再会」というゲームで描かれている。

wikiによるゲームのシナリオだと、「ゴート札」を巡る一連の事件から数年後。カリオストロ公国ではクラリスが女王に即位し、事件を風化させないため、国全体を一大モニュメントパークとして開放することになった。国のあちらこちらには事件の解決に尽力したルパン三世たちの記念碑が作られ、ローマ遺跡とともに新たな観光名所になっていたとのこと。
ルパン三世シリーズのカリオストロの城では、伯爵家が悪者で、大公家のクラリスは純真な少女として描かれているが、そのモデルはTVアニメ「ルパン三世」1stシリーズで、宮崎駿が演出した回に登場したゲストキャラクターが、クラリスのモデルになっているという逸話もある。
実際に宮崎駿監督がコメントしていないので真偽は不明だが、宮崎駿監督がアニメの世界に進むきっかけになった東映アニメ「白蛇伝」に出てくるヒロインの「白娘子」がこのクラリスに少なからず影響されたようだ。
映画では、カリオストロの城から、ルパンはクラリスを外の世界へ解放。
ルパンは「泥棒は美しいものを外へと解放するのが仕事だ」とクラリスが解放され、別れのシーン。作中で銭形刑事にクラリスが「あの方(ルパン)は何も盗んでいっていない」という発言に対して名セリフの「あなたの心です(心を盗んだ)」と銭形警部はルパンを追いかける。
映画では、ここで終わっているが、PSで「ルパン三世 カリオストロの城 -再会-」のゲームがその後の世界となっている。
ゲームのシナリオは、カリオストロ城に侵入して「クラリスと再会する」という物語になっているが、しかし、この作品に宮崎監督は一切関わってない。
アドベンチャーゲームなので、プレイヤーがカリオストロ城内を歩き回れ、物語は「カリオストロの城」の後日談、タイトル通りクラリスとも再会するが、今回も混乱や騒動も結局ルパンにかぶせられ、クラリスは「ルパンにはめられた悲劇の公女」(本人の意志とは別にして)として別れ、騒動を丸く収める。
実際、宮崎監督がかかわっていないので、スピンオフ的な作品。
カリオストロの城の舞台は「カリオストロ公国」という、れっきとした「国家」であり、(ちなみに、世界最小の国連加盟国(という設定)らしい)クラリスは、その公国の公女(大公家最後の血筋)。であるならば、順当に行けば、彼女は国のトップに立つことになる。
そして、彼女の性格から考えて、それを無責任に放棄することはおそらくない。
両家のしてきた偽札の事は理解しているので、偽札造りが壊滅後のカリオストロは、劇中で発見されたローマ遺跡が観光資源となり、国益を担う。
なので、宮崎監督が描いたとしても、その後は『めでたし、めでたし』で終わっていると思って間違いないだろう。
21時00分~23時04分
不朽の名作「ルパン三世 カリオストロの城」が今夜放送。
今では名作となった「ルパン三世 カリオストロの城」だが、1989年公開時には全く客が入らない赤字映画だった。
当時、独立してフリーのアニメーターになったばかりの宮崎駿は、初の映画監督作品であったこの映画の大失敗で仕事の依頼がなくなり、約5年後の「風の谷のナウシカ(1984年)」のヒットまで苦しい下積み状態を過ごしている。
ただ、この下積み時代があったおかげで、アニメ雑誌「アニメージュ」の当時の編集長だった後のジブリ・プロデューサーの鈴木敏夫氏と宮崎駿の接点となり、その後の漫画版「風の谷のナウシカ」からその映画化およびその後のジブリ創設へと繋がって行く。
その後、宮崎駿がアカデミー賞を得るにあたっても、この大失敗に終わったとされた公開当時から約40年を経てようやく時代が「カリオストロの城」を理解できるようになった。
今回は、このカリオストロの城で気になるのは、ヒロイン・クラリスのその後。
ルパンと別れた後、クラリスはどうなったのか?今夜の放送に先駆け、クラリスのその後についてまとめてみた。
■目次
・ルパン三世「カリオストロの城」あらすじ・カリオストロの城のモデル
・カリオストロの城「カリオストロ伯爵」は実在する?
・「カリオストロの城」クラリスその後
ルパン三世「カリオストロの城」あらすじ

ある日、モナコのカジノから大金を強奪したルパン(山田康雄)と次元(小林清志)。
しかしルパンは、その金がカリオストロ公国で作られている幻の偽札“ゴート札”であることに気付く。
かつて、ルパンは“ゴート札”を狙ってカリオストロ公国に忍び込み、失敗した過去があったのだ。今度こそ、その秘密を暴こうと決意したルパンは、カリオストロ公国に向かうが…。
その途中で、謎の男たちに追われる花嫁姿の美少女を発見!
その少女・クラリス(島本須美)はカリオストロ大公家の娘で、父の死後国を治めているカリオストロ伯爵(石田太郎)から結婚を迫られ、逃げていたのだ。
ルパンに救出されたものの逃げ場がないと悟ったクラリスは、大公家に伝わる指輪をルパンに預けて伯爵の元へ戻っていった…。
伯爵がクラリスとの結婚を急いでいるのは、城に隠された秘宝の在り処を示す指輪を手に入れるためだった。伯爵の野望に気付いたルパンは、カリオストロ公国に現れた銭形警部(納谷悟朗)を利用して城に潜入。城の秘宝を狙って伯爵に近づいていた不二子(増山江威子)の協力を得て、クラリスを助けようとするのだが…。
公式サイト
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カリオストロの城のモデル
宮崎駿監督が、カリオストロの城をイメージのモデルにしたのがイタリア中部のマルケ地方のサンレオ。

イタリア中部のマルケ地方のサンレオは、カリオストロの城を作る際に宮崎、大塚、山本(美術の山本二三)達スタッフがヨーロッパに長期のロケハンに行っている。
これは、当時の日本のアニメ界にとって凄いことであり、初の試みであった。
実写の映画やドラマでは当たり前のようにロケハンを行い、そのイメージで演出を変えたりする。それをアニメですることにより、さらにリアルな世界観をかもし出す事に成功した。
カリオストロ公国はサンマリノ公国、バチカン市国、リヒテンシュテイン公国をモデルとしているという説があり、ヨーロッパ中を旅して見聞き(イラストを取る)したエッセンスをミックスしているもの。

作中もなんとなく「イタリア風」であり、バチカン、パリ本部(本当はジュネーブ)と言うセリフがある。ちなみにモデルの城は「リヒテンシュタイン城」になる。
公開当時、宮崎駿監督は「江戸川乱歩の「幽霊塔」をイメージした」と語っているが、実際はこのロケハンでの影響が大きい。
また、「カリオストロ」というネーミング自体は、「ルパン三世」の元ネタであるモーリス・ルブラン作の小説「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」シリーズに登場する、カリオストロ夫人からの引用だそうだ。
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カリオストロの城「カリオストロ伯爵」は実在する?
カリオストロ伯爵が治める「カリオストロの城」
実際にヨーロッパ中世期、伯爵以上が国持ちになれるが、独立すると伯国では無く公国になる。なので、現実の爵位として公国の摂政としては、カリオストロ伯爵の爵位は低い。「公国」とは「王(kING)を頂かず、大公、公爵(DUKE)が治める国」を意味するので、侯爵が主の場合は「侯国」、伯爵が主の場合は「伯国」になる。
映画の設定では「カリオストロ大公の娘」、クラリスと伯爵だけが一族の生き残りであり、結婚によってクラリスの持つ継承権が伯爵に渡れば「大公」を名乗れる。
所詮は「末端の家系」の出身の設定。
ネーミングについては、アルセーヌ・ルパンシリーズの「カリオストロ伯爵夫人」が元ネタなので、シリーズを通して追い求めた「カリオストロ4つの謎」。これを選んだ宮崎駿監督が原作のファンだったのかもしれない。
ちなみにカリオストロ伯爵を自称した人物は実在する。
そもそもは18世紀に実在した「カリオストロ伯爵」という人物は、胡散臭い詐欺師で、当時のフランスの宮廷を騒がせた「首飾り事件」の容疑者として有名。(実は冤罪)
そして、小説「アルセーヌ・ルパン」シリーズ「首飾り事件」を題材にした作品が書かれている。アルセーヌ・ルパンが「少年時代に最初に狙った獲物」とされたのが「首飾り事件」で出てくる首飾りで、物語の中に登場する女盗賊バルサモが「カリオストロ伯爵夫人」を名乗っている。(ちなみにその時のルパンの恋人の名前が「クラリス」)
アニメ版の「ルパン三世」は「アルセーヌ・ルパンの孫」、という設定ということもあり、小説「アルセーヌ・ルパン」の内容をモチーフにしたネタがたびたび登場することもある。
その一つが映画「カリオストロの城」であり、「カリオストロ」「クラリス」という名前。
これは名前を借りただけで、実在したカリオストロ伯爵や小説「アルセーヌ・ルパン」とは無関係。「ルパン三世」という作品は他のアニメとは違い、「ストーリー間の辻褄」とか「細かい設定」みたいなものはあまり気にしないというスタンスなのだろう。
基本的に「他のストーリーとはつながりは無い」オリジナル作品という解釈でいいのかもしれない。
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「カリオストロの城」クラリスその後
「カリオストロの城」クラリスその後は、「ルパン三世 カリオストロの城 -再会」というゲームで描かれている。

wikiによるゲームのシナリオだと、「ゴート札」を巡る一連の事件から数年後。カリオストロ公国ではクラリスが女王に即位し、事件を風化させないため、国全体を一大モニュメントパークとして開放することになった。国のあちらこちらには事件の解決に尽力したルパン三世たちの記念碑が作られ、ローマ遺跡とともに新たな観光名所になっていたとのこと。
ルパン三世シリーズのカリオストロの城では、伯爵家が悪者で、大公家のクラリスは純真な少女として描かれているが、そのモデルはTVアニメ「ルパン三世」1stシリーズで、宮崎駿が演出した回に登場したゲストキャラクターが、クラリスのモデルになっているという逸話もある。
実際に宮崎駿監督がコメントしていないので真偽は不明だが、宮崎駿監督がアニメの世界に進むきっかけになった東映アニメ「白蛇伝」に出てくるヒロインの「白娘子」がこのクラリスに少なからず影響されたようだ。
映画では、カリオストロの城から、ルパンはクラリスを外の世界へ解放。
ルパンは「泥棒は美しいものを外へと解放するのが仕事だ」とクラリスが解放され、別れのシーン。作中で銭形刑事にクラリスが「あの方(ルパン)は何も盗んでいっていない」という発言に対して名セリフの「あなたの心です(心を盗んだ)」と銭形警部はルパンを追いかける。
映画では、ここで終わっているが、PSで「ルパン三世 カリオストロの城 -再会-」のゲームがその後の世界となっている。
ゲームのシナリオは、カリオストロ城に侵入して「クラリスと再会する」という物語になっているが、しかし、この作品に宮崎監督は一切関わってない。
アドベンチャーゲームなので、プレイヤーがカリオストロ城内を歩き回れ、物語は「カリオストロの城」の後日談、タイトル通りクラリスとも再会するが、今回も混乱や騒動も結局ルパンにかぶせられ、クラリスは「ルパンにはめられた悲劇の公女」(本人の意志とは別にして)として別れ、騒動を丸く収める。
実際、宮崎監督がかかわっていないので、スピンオフ的な作品。
カリオストロの城の舞台は「カリオストロ公国」という、れっきとした「国家」であり、(ちなみに、世界最小の国連加盟国(という設定)らしい)クラリスは、その公国の公女(大公家最後の血筋)。であるならば、順当に行けば、彼女は国のトップに立つことになる。
そして、彼女の性格から考えて、それを無責任に放棄することはおそらくない。
両家のしてきた偽札の事は理解しているので、偽札造りが壊滅後のカリオストロは、劇中で発見されたローマ遺跡が観光資源となり、国益を担う。
なので、宮崎監督が描いたとしても、その後は『めでたし、めでたし』で終わっていると思って間違いないだろう。
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